Hand sewn welted
09 03, 2013 | Posted in Diary
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靴できました。

習作です。
ハンドソーン・ウェルテッドという、靴の底付け製法で作ってみました。
モゲ・ワークショップで靴を作り習って10年目。
底付け方法は、接着剤を使うセメントが主です。
ハンドソーン・ウェルテッドという、手縫いで底を付ける製法は知っていましたが、
高級靴のイメージが強く、自分には向いていなかなと思っていました。
今回、縁あって、
浅草生まれの職人さんに教えてもらえる機会を得て、チャレンジしました。
齢、80歳、そのお父さんも靴職人、生粋の靴職人です。
日本で靴が広まったのは戦後60年ほど。
日本の靴の歴史、そのまんま、生き字引のような人です。
昔ながらの作り方を教えてもらいました。

ふのりを作ってます。

芯の補強に、磐石糊(小麦粉を発酵させたものらしい)を作ります。

松脂を煮て。

チャンを作り、縫い糸の亜麻糸に塗りこみます。

ペース(木釘)を使ってカカトをまとめました。
タックス(軟鉄の釘)を使うと、革が痛むそうです。
釘は釣り込みの時に仮止めで使うのみ、曲げずに抜いては何度も使います。
海藻のふのりや、小麦粉の磐石糊、松脂と油のチャン、自然素材でエコですね。
けど、当時は強力な接着剤がなかったので、
この作りでしか頑丈な靴ができなかったそうです。
エコとかではないらしい。

チャンコルクで段差を埋めます。
このチャンコルク、流動性があって、履いてると足馴染みが良いそうです。
本底を付けて、ドブを起こして。


出し縫い。
縫い目の間隔は2~3ミリ位、一目一目手で縫います。
気が遠くなりそうです。
しかも、小さい穴にチャンをつけた6本撚りの太い糸を無理やり2本通します。
それがクサビのようになって、本底を固定するようです。
しかし、手がいたいです。
縫うとき、イノシシの毛を針に使います。
細く柔軟、頑丈ですごいです。
けど、なぜ、イノシシの毛。
それを使う発想、経緯を知りたくなりました。
その後、ヒールを積み上げて完成です。

仕上げにいろんな鏝を使います。
なんか楽しい。
今回はキャンプで使うコンロでコテを熱してます。

完成。
やっぱり革底はすべりそう。
ちょっと履いて危ないようなら、滑り止めを貼らないとです。
今回、作ってみて思ったことは、
当たり前ですが、
とても、とても、手間がかかります。
そして、作業は、印とか付けずに、とにかく目見当で、
ズバズバ切ったり、ブスブス穴をあけたり、ザクザク削ったりしました。
スピードを上げるには仕方のないことなのでしょう。
当時の底付職人さんで早い人は、一日2足を縫い付けていたそうです。
しかし、初めてやると、いろいろガクガクしてしまいます。
この製法で早く綺麗に作るには相当の技術と経験が必要だなと思いました。
そして手間はどうしても掛かるので、
高い値段で売る、高級靴になってしまうのでしょう。
強力な接着剤がない当時、頑丈な靴を作るため、
職人さんが、手に入れられる材料で、知恵を絞って、
技術を尽くして、考え出した靴の製法なのだなと感じました。
今は強力な接着剤があります。
クッション性やグリップ力がいい底材が多種多様にあります。
中敷きも、高機能のもあります。
それらの素材を履く人に合わせて、今回の製法を含め、
いろんな製法で靴を作っていこうと、改めて思いました。
それにしても、教えてくれた80歳の職人さんはおどろくほど元気です。
いつも手を使ってるからですかね。

靴作りも面白かったですが、
作りながらの戦中、戦後の話がとても興味深かく、楽しかったです。
そういえば、最初に靴作りを教えていただいたモゲさんも、今年で80歳だと思います。
これもなにかの縁かな。
そういえば、この前、エベレストに登頂した三浦雄一郎さんも、80歳。
おそるべし、80歳。

習作です。
ハンドソーン・ウェルテッドという、靴の底付け製法で作ってみました。
モゲ・ワークショップで靴を作り習って10年目。
底付け方法は、接着剤を使うセメントが主です。
ハンドソーン・ウェルテッドという、手縫いで底を付ける製法は知っていましたが、
高級靴のイメージが強く、自分には向いていなかなと思っていました。
今回、縁あって、
浅草生まれの職人さんに教えてもらえる機会を得て、チャレンジしました。
齢、80歳、そのお父さんも靴職人、生粋の靴職人です。
日本で靴が広まったのは戦後60年ほど。
日本の靴の歴史、そのまんま、生き字引のような人です。
昔ながらの作り方を教えてもらいました。

ふのりを作ってます。

芯の補強に、磐石糊(小麦粉を発酵させたものらしい)を作ります。

松脂を煮て。

チャンを作り、縫い糸の亜麻糸に塗りこみます。

ペース(木釘)を使ってカカトをまとめました。
タックス(軟鉄の釘)を使うと、革が痛むそうです。
釘は釣り込みの時に仮止めで使うのみ、曲げずに抜いては何度も使います。
海藻のふのりや、小麦粉の磐石糊、松脂と油のチャン、自然素材でエコですね。
けど、当時は強力な接着剤がなかったので、
この作りでしか頑丈な靴ができなかったそうです。
エコとかではないらしい。

チャンコルクで段差を埋めます。
このチャンコルク、流動性があって、履いてると足馴染みが良いそうです。
本底を付けて、ドブを起こして。


出し縫い。
縫い目の間隔は2~3ミリ位、一目一目手で縫います。
気が遠くなりそうです。
しかも、小さい穴にチャンをつけた6本撚りの太い糸を無理やり2本通します。
それがクサビのようになって、本底を固定するようです。
しかし、手がいたいです。
縫うとき、イノシシの毛を針に使います。
細く柔軟、頑丈ですごいです。
けど、なぜ、イノシシの毛。
それを使う発想、経緯を知りたくなりました。
その後、ヒールを積み上げて完成です。

仕上げにいろんな鏝を使います。
なんか楽しい。
今回はキャンプで使うコンロでコテを熱してます。

完成。
やっぱり革底はすべりそう。
ちょっと履いて危ないようなら、滑り止めを貼らないとです。
今回、作ってみて思ったことは、
当たり前ですが、
とても、とても、手間がかかります。
そして、作業は、印とか付けずに、とにかく目見当で、
ズバズバ切ったり、ブスブス穴をあけたり、ザクザク削ったりしました。
スピードを上げるには仕方のないことなのでしょう。
当時の底付職人さんで早い人は、一日2足を縫い付けていたそうです。
しかし、初めてやると、いろいろガクガクしてしまいます。
この製法で早く綺麗に作るには相当の技術と経験が必要だなと思いました。
そして手間はどうしても掛かるので、
高い値段で売る、高級靴になってしまうのでしょう。
強力な接着剤がない当時、頑丈な靴を作るため、
職人さんが、手に入れられる材料で、知恵を絞って、
技術を尽くして、考え出した靴の製法なのだなと感じました。
今は強力な接着剤があります。
クッション性やグリップ力がいい底材が多種多様にあります。
中敷きも、高機能のもあります。
それらの素材を履く人に合わせて、今回の製法を含め、
いろんな製法で靴を作っていこうと、改めて思いました。
それにしても、教えてくれた80歳の職人さんはおどろくほど元気です。
いつも手を使ってるからですかね。

靴作りも面白かったですが、
作りながらの戦中、戦後の話がとても興味深かく、楽しかったです。
そういえば、最初に靴作りを教えていただいたモゲさんも、今年で80歳だと思います。
これもなにかの縁かな。
そういえば、この前、エベレストに登頂した三浦雄一郎さんも、80歳。
おそるべし、80歳。